「僕のSNS、よかったらフォローしてよ」
隣のクラスの彼にそう声をかけられ、私は沈黙する。
「ごめん、私SNSやってなくて」
「知ってる。すぐ登録できるからさ。ハイこれ僕のID」
「えっ?」
彼は大人しいタイプに見えるが常に周りに人がいる。そんな彼の取り巻きたちに一瞥され、私は思わず縮こまった。
中学の時にSNSいじめが流行ってうんざりした。しばらくSNSには手を出したくない。時代遅れと思われている方が気が楽。
そんな私にわざわざ声をかけてくるなんて。
「ああ、彼ね? もちろんフォローしてるよ!」
話を聞いた友人たちが目を煌めかせる。
「そんなに有名人なの?」
「うちの学校の生徒がほとんどフォローしてるんじゃない? 直接誘われるなんて羨ましいー」
「なんだかアイドルみたいだね」
「アイドルじゃないわよ!」
友人は一斉にスマホを取り出して、何も映っていない画面に頬ずりしながら言った。
「みちびきなの」
▽
帰宅後、もらったIDを家のPCで検索する。フォロワー数うん万人のビッグアカウントだ。しかし私が首を傾げたのはそこではなかった。
毎日投稿されている内容は全て空白。しかしその投稿には多くの反応がある。
――今日もみちびきをありがとうございます。
――あなたのみちびきのおかげで生きています。
――どうか自分にみちびきを!
そんな奇妙なコメントが膨大に寄せられていた。
――ナイスみちびきです♡
「あ」
友人のアカウントを見つけ、私の背筋は凍りつく。そのコメントを見なかったことにしたくて、勢いよくPCを閉じた。
「なにこれ」
指先が震える。私が見たものとみんなに見えているものは本当に同じ?
あまりの気味の悪さにフォローボタンは押せなかった。
▽
「フォローしてくれた?」
翌朝、運悪く彼に捕まったのは偶然だろうか。
「あ、ごめんね。まだなんだ。でもあんなにフォロワーいるなら別に私がいなくても……」
「どうして?」
彼とその取り巻きたちに囲まれる。私はただ冷や汗を流すだけしかできない。その中には、私の友人もいた。
「君が最後なんだよ」
私は口を必死に動かす。
「みちびき、いらないです」
それを聞いた彼は、面白そうに目を細めた。
〈了〉
隣のクラスの彼にそう声をかけられ、私は沈黙する。
「ごめん、私SNSやってなくて」
「知ってる。すぐ登録できるからさ。ハイこれ僕のID」
「えっ?」
彼は大人しいタイプに見えるが常に周りに人がいる。そんな彼の取り巻きたちに一瞥され、私は思わず縮こまった。
中学の時にSNSいじめが流行ってうんざりした。しばらくSNSには手を出したくない。時代遅れと思われている方が気が楽。
そんな私にわざわざ声をかけてくるなんて。
「ああ、彼ね? もちろんフォローしてるよ!」
話を聞いた友人たちが目を煌めかせる。
「そんなに有名人なの?」
「うちの学校の生徒がほとんどフォローしてるんじゃない? 直接誘われるなんて羨ましいー」
「なんだかアイドルみたいだね」
「アイドルじゃないわよ!」
友人は一斉にスマホを取り出して、何も映っていない画面に頬ずりしながら言った。
「みちびきなの」
▽
帰宅後、もらったIDを家のPCで検索する。フォロワー数うん万人のビッグアカウントだ。しかし私が首を傾げたのはそこではなかった。
毎日投稿されている内容は全て空白。しかしその投稿には多くの反応がある。
――今日もみちびきをありがとうございます。
――あなたのみちびきのおかげで生きています。
――どうか自分にみちびきを!
そんな奇妙なコメントが膨大に寄せられていた。
――ナイスみちびきです♡
「あ」
友人のアカウントを見つけ、私の背筋は凍りつく。そのコメントを見なかったことにしたくて、勢いよくPCを閉じた。
「なにこれ」
指先が震える。私が見たものとみんなに見えているものは本当に同じ?
あまりの気味の悪さにフォローボタンは押せなかった。
▽
「フォローしてくれた?」
翌朝、運悪く彼に捕まったのは偶然だろうか。
「あ、ごめんね。まだなんだ。でもあんなにフォロワーいるなら別に私がいなくても……」
「どうして?」
彼とその取り巻きたちに囲まれる。私はただ冷や汗を流すだけしかできない。その中には、私の友人もいた。
「君が最後なんだよ」
私は口を必死に動かす。
「みちびき、いらないです」
それを聞いた彼は、面白そうに目を細めた。
〈了〉


