煙草の匂いが消えた朝に

恋愛(ピュア)

煙草の匂いが消えた朝に
作品番号
1776055
最終更新
2026/02/28
総文字数
4,207
ページ数
2ページ
ステータス
未完結
PV数
1
いいね数
0
平成16年。
放課後の屋上で出会った少女と、借金を抱えた新聞配達員の男。
「借金あっても、空はきれいだな」
その何気ない一言が、壊れかけた少女・白鳥真子の心に、かすかな光を灯す。

それから15年――。

平成31年。
再会の場所は、街中にある精神科病院のデイケア。
29歳になった真子は解離性障害と潔癖症を抱え、
46歳になった橘龍太郎は統合失調症と借金を背負っている。

真子は“現実が遠くなる”。
龍太郎は“現実が歪む”。

壊れ方は違う。
けれどどちらも、世界との距離がうまく測れない。

「私、おかしいでしょ」
「俺もだよ」

その言葉をきっかけに、二人の孤独は少しずつ形を変えていく。

手を洗う衝動。
耳元の「飛べ」という声。
消えない不安。

だがある日、奇妙なことが起こる。
真子の解離が深まりかけた瞬間、龍太郎の声が「戻れ」と囁く。
龍太郎の幻聴が強まる夜、真子の「大丈夫」がそれを押し返す。

二人の病は、やがて“共有”され始める。

それは悪化ではない。
孤独の解除だった。

「煙草の匂いがしない朝を、ちゃんと吸い込みたい」

龍太郎の願いを、真子は受け取る。
真子の「働きたい」という震えを、龍太郎は支える。

病は消えない。
借金もなくならない。
社会復帰は遠い。

それでも――
壊れそうな瞬間に、もう一人がいる。

「俺が飛びそうになったら」
「戻れ、って言います」

恋かどうかは、まだわからない。
けれど確かに、二人は“同じ方向”を向き始めている。

これは、
壊れたまま生きる二人が、
誰かと一緒に回復していく物語。

孤独が、形を失うまでの物語。

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