丈一郎の提案にはそそられるものがある。美容室。最後に行ったのは一ヶ月検診が終わった頃にようやく。でさっぱりした頭で実家に戻ればまた例のシッターに、「あらまー。都会の奥様! って感じやねえ。優香ちゃん。ママ来たからもう寂しないよ」と言われる始末。……綾乃が外に出たのは検診を除けばその一回きりだ。『お帰りなさい』『似合っとるわね』『優香ちゃん元気にしておったよー』何故その程度の気遣いが口に出せぬのか。わざわざ『優香が寂しがっていたこと』など伝えては、リフレッシュしてきた母親を追い込むだけではないか。悪いことをしてきたわけでもないのに。とことん、あのシッターとは波長が合わなかった。
「美容室、行きたい……」綾乃は正直な願望を口にする。「でも。……予約取れるか、分かんないし。わたしの行きつけのとこ、結構、人気、高いから……」
「そしたら美容室には朝イチで電話して行けたら行くとして。もし明日無理ならまた別の日に予約すればいんじゃね?」
「そんなに、……わたしの頭、ひどい?」綾乃は手で髪を押さえる。「なこたねえけどよ」と丈一郎。
「美容室、行きたい……」綾乃は正直な願望を口にする。「でも。……予約取れるか、分かんないし。わたしの行きつけのとこ、結構、人気、高いから……」
「そしたら美容室には朝イチで電話して行けたら行くとして。もし明日無理ならまた別の日に予約すればいんじゃね?」
「そんなに、……わたしの頭、ひどい?」綾乃は手で髪を押さえる。「なこたねえけどよ」と丈一郎。



