俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

 ――もう。いい加減にしてよ! 泣き止んでよ!

 喚き散らしたい自分が確かに存在した。なんでなんでこんなに泣くのだ。こんなに一生懸命やっているのに。いったいなにが足りないのだろう? いったいどうしてこんなに優ちゃんは泣いてばかりなのだろう。こんなに泣かれるとまるでわたしが――

 ひどい母親、みたいじゃないか。

 苦しかった。切なかった。涙がとめどなく溢れてどうしようもなかった。――そのとき。

 ふわ、と腕のなかの赤子が逃げていく。

 無理やり奪う類のものではない、やさしい力だ。見れば。

 慣れた手つきで優香を抱っこしてくれる女性がいた。――義理の姉だ。兄貴の奥さんの……、里織(さおり)さん……。

 泣き濡れる綾乃と目を合わせると、微笑みかけてくる。「綾乃ちゃん……。

 優香ちゃんのことはいいさけ。奥行って泣いといで? ……全然眠れとらんのやろ?」

 兄嫁の里織は、綾乃が使っている客間を見やると困ったように眉を下げ、

「……大変やねえ。綾乃ちゃんも……」

 目を見ただけで綾乃にはぴんと来た。里織さんは……、『分かって』いる。「とにかく」と言葉を切ると、