俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

 睡眠不足で朦朧とした頭で、携帯で必死に検索をしたのを憶えている。『寝ない 赤ちゃん』『寝ない 新生児』――どうやら寝ない赤ちゃんというものは珍しいものでもなんでもないらしく。むしろ、生後三ヶ月くらいまでは常時泣きっぱなしも当たり前、なんだとか。なかには、二歳を過ぎても夜泣きで夜中三度起きる――なんてブログを見つけて。綾乃は恐怖に震え上がった。――いまですらこんなに辛いのに。

 これが、あと二年も続いたら……。

 自分の、精神は、どうなってしまうのだろう。

 泣き続ける赤ちゃんを相手しているゆえ、綾乃の思考は低下し、普段ほど冷静に物事を捉えられなくなり、ナーバスになった。いわゆる産後うつだったのだと思う。周りに恵まれていたし、例えば赤子を虐待するレベル――にまでは、至らなかったが。それでも、綾乃は。

 真っ昼間。ベビーシッターの小言を聞きたくないがために、庭に出て我が子を抱っこする。――急に涙が出てきた。庭師を雇って手入れしている庭の装飾も、その緑の色もまったく目に入ってこない。世界が、灰がかって見えた。

 ――なんで、わたしだけ、こんな目に!