綾乃は何故か同室の誰とも仲良くなれなかった。するつもりもあったのだが、二人目出産のお母さんは母乳の出が悪いらしくしょっちゅう助産婦に相談しており余裕がなさそうだったし、同じ初産の相手はもっと切羽詰った様相。出産が立て込んでいるうえに同室には危うく出産で命を落とすところだった女性もおり。産後二日経っても痛い痛いと呻いていた。順調過ぎる綾乃親子にさほど手をかけられぬ様相だった。確かに彼女に比べれば綾乃のお産は軽いものであった。――せっかく地元に帰ってきたのに、病室には見知らぬ人ばかりで、入院中の綾乃に見舞われたのは厳然たる孤独、だった。
細切れの睡眠。産後の疲弊。入院中の孤独。それらは着実に綾乃を蝕んでおり――
退院時。母子ともに問題なし、とは言われるものの。綾乃は。
おむつを替えてもおっぱいをあげても泣き続ける赤ちゃんに――疲れてしまった。ベビーシッターの女性ですら「ほんとによう泣くねえ、この赤ちゃんは……」困り顔をする有様だった。
細切れの睡眠。産後の疲弊。入院中の孤独。それらは着実に綾乃を蝕んでおり――
退院時。母子ともに問題なし、とは言われるものの。綾乃は。
おむつを替えてもおっぱいをあげても泣き続ける赤ちゃんに――疲れてしまった。ベビーシッターの女性ですら「ほんとによう泣くねえ、この赤ちゃんは……」困り顔をする有様だった。



