俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

 休日は、綾乃が抱っこ紐で優香を抱っこして三人揃ってドラッグストアやスーパーに行くことはあれど。それ以外は彼は自由に過ごしている。独身時代やDINKSの頃と日常生活のさして変わらぬ丈一郎は、沐浴の仕方も知らない。知らずじまいで終わるのかもしれない。あの調子だと。

 ――専業主婦ってすごく優雅な感じじゃん? 旦那の稼ぎで飯食って好きなもん買ってさ。

 ――それに比べると、仕事のほうが断然大変だと思うよ。嫌なこともたくさんあるし、自分がやらかしたわけでもないのに、お客さんにぺこぺこ頭下げなきゃなんねえし、……

 ――育児休暇取得しといて仕事してねえくせに金まで貰っておいて。イライラしながら育児してんじゃねえよ。なんのために休んでんだおまえは。

 ……育児休暇を文字通りの『休暇』とみなす者がこんな身近にいるとは。失笑が漏れる。政治家がそんな発言をしていたとしたら炎上確実。下手をすれば引退だ。仮に一週間。ぜんぶ優香の世話をけいちゃんに丸投げしたらいったいどんな反応をするだろう。綾乃の結論としては、

(けいちゃんに、なにを話しても、無駄だ)