お姫様は専属総長に溺愛されてみたい。

天城高校――。

校門をくぐった瞬間、周りの空気が変わった。

廊下の壁にある靴の黒い跡。
少しだけ埃をかぶった床。
廊下に騒いでいた男子たちが、一斉に私を見る。

みんなが同じように制服を着崩していた。
白いワイシャツに紺色のネクタイ。普通の制服だ。
けれど、天城高校の人たちが着ると、なぜかとても特別に見える。

汚して、汚して、その先に手に入れた栄光。
そんな匂いがした。

ラベンダー色の布地に、白いリボンのセーラー服。
私が身に纏う制服は、まだ紫苑女学院のもののままだ。

(私・・・やっていけるのかな。)

どこからどう見ても、私はこの場に馴染めていないだろう。
自分でも、浮きすぎているのがよく分かる。

それなのに、妙に背筋を伸ばしてしまう。胸を張って歩いてしまう。
幼い頃からついたこの癖。今は邪魔でしかない。

廊下にいる男子たちがねめつけるように私を見ていて、怖すぎる。
なんとか教室に逃げ込めたと思ったら、教室の中でも怖そうな男子たちがたくさんいた。

ちらほら見える女子たちもみんな髪の毛を染めていて、中には金髪の子までいた。
みんなスマホケースはキラキラしてて、ギャハハっと下品な笑い声を挙げている。