お姫様は専属総長に溺愛されてみたい。

彼の身長は私よりも20センチメートルほど高くて、抱きしめられているせいもあって、どんな表情をしているのかは分からない。
ただ、怒っていると言うことだけはわかった。

私を、守ってくれてる?
庇ってくれてる?
解決しようとしてくれてる?

そう思うと、ますます心の中が混乱してくる。
今まで何一つ助けてくれなかったのに、突然助けてくれる?
何か、裏があるんじゃ――

でも、そんな不安は一気に氷解した。
なぜなら、彼の腕の力が強まったから。
私を抱きしめる腕に、力を込めたから。

「お前に流海の人生を決める資格はねぇ」

――“流海”

その呼び方に、少しだけドキッとした。

「二度と流海に触んな。・・・愚か者め」

総長と、婚約者を名乗る男性の舌打ちの音が重なった。
やがて諦めて婚約者を名乗る男性は車に戻っていった。

野次馬たちは今起きた出来事が信じられないみたいで、興奮したように喋りながら後者に戻っていく。
私は一気にホッとして、足の力が抜けた。

ふらーっと倒れそうになった私の体を総長が支えてくれた。