お姫様は専属総長に溺愛されてみたい。

「もうお断りさせていただいたはずです。それに、どうして私の居場所を知ってるんですか」

「居場所なら、君の祖父に聞いた。結婚する意思があると伝えると、快く教えてくれたよ。君の父も母も嬉しそうだった。・・・反対意見を持ってるのは、君だけだ。どうして反対する?」

「・・・っ、会ったこともない人と結婚するなんてあり得ません」

「・・・・・・はぁ、まだ分からないの?」

私の婚約者を名乗る男性は、大きくため息を吐いて、呆れたように肩をすくめた。

「いい?この婚約は両家にとって意味のあること。僕も君を慕おうと思う気持ちがある。君のはただの我儘だ。君に何かを言う権利はない」

そう言うと、強引に腕を引っ張り、距離を詰めてきた。
吐き気がするような香水の匂い。

ふらりと眩暈がした。


「触んな」


――その時だった。

甘くて、でも少し苦いほんのりとした香水の匂いがして、
気づいたら、私は総長の腕の中に収まっていた。

「本人が嫌がってんだろ」

総長の威圧感のある口調が、その場の空気を凍らせた。
野次馬たちがいっせいに黙る。

「これは僕たちの問題だ。部外者は――」

「黙れ」

総長は、偉そうに腕を組む年上の人にも、一切の隙も見せない。
ただ鋭い一言で、一喝するのみ。

決して、諦めたりはしない。