「やっと見つけた。・・・・流海。」
なんだか何かの素敵な小説みたいなセリフ。
けれど、全然目の前の人は素敵じゃないし、そもそも誰なのか分からない。
「誰・・・ですか?」
「俺のこと忘れたの?これから結婚するっていうのに」
(・・・・・・・・・・え?)
まさか、この人が・・・。
――婚約者?
でも、確かに断ったはずだ。お祖父様に、ちゃんと伝えたはず・・・。
それに、どうしてこの人は私の居場所を知ってるの?
怖い。怖すぎる。
「・・・っ」
私がこんなに困ってるのに、どうして先生は助けてくれないの?
ただ戸惑い、見てみぬふりをするようにそこに立つだけ。
「いつまで反抗するつもり?」
「私・・・帰ります」
勇気を振り絞って校舎の方へ踵を返そうとした時、
私の婚約者を名乗る男性は私を追いかけてきて、ぐっと腕を掴んだ。
「どこ行くの?」
優しい声なのに、変に力がこもっている。
顔を直視できない。
でもここで俯いたら終わり。
「離してください」
声が震えてしまったけれど、なんとか声を出した。
「君は僕と結婚するんだ。もう、決まってる。」


