お姫様は専属総長に溺愛されてみたい。

天城高校に転入してから数日が経った。

嫌がらせをされたり、奇異や嫌悪の目で見られることは今も続いている。
でも、私は上手く受け流す術(すべ)を習得した。

折れたくない。ここで流されたくない。
その決意は、本当だから。

天城にいる人たちはみんな一人でこの世界を生き抜いている。
周りに流されることもなく、頼ることもなく、一人でただ淡々と生きている。
その空気に、早く馴染まなくちゃいけない。


「次の移動教室、分かる?」

「え・・・、あ・・」

突然声をかけられて、ハッとした。この高校に来てから、初めてまともな会話をした気がする。
声をかけてくれた男子は、おとなしそうな見た目だった。

・・なんだ、普通の生徒もいるじゃん。

少しだけ安心して、私はしっかりと目を見て言葉を発した。

「よかったら案内してくれるかな?」

声をかけてくれた男子は、優しそうな笑みを浮かべて頷いてくれた。
心のどこかで、嬉しいと感じる自分がいる。

前までは、それが当たり前だった。当然のように気遣いを受け取っていた。
でも、ここにくると、なんだかそれってとても貴重で大切なもののように感じる。