恋を知った塩崎さんがなんか甘い。 〜アイドルだと思っていた推しは、感情ゼロのAIでした〜

スマホを投げ捨てて、私はベッドの中に潜り込む。

そんなはずない。

信じたくないのに。

みるみる涙が込み上げてきて、吐きそうにまでなる。

『薬』がないと、止まらない涙。

恐る恐る、『薬』へ手を伸ばす。



〈大人気アイドル宮瀬朔太朗、芸能界引退を発表か〉



突如として襲ってきた病に、泣き叫ぶことしかできない私がいた。

宮瀬くんがいなくなったら、

私、今後どうやって生きていけばいいの?



『また泣いてるじゃん。つまんね』

『アホらし』



昔から大好きだった推しを失って。

全部、失った気になった。



〈宮瀬さんは『かわいいだけ』をモットーに活動する××所属の男性ソロアイドルです。ファンクラブ数は驚異の──〉



かわいいだけ、か。


知るはずもなかった。

そんな推しの本当の姿。

手を引っ張られて部屋に連れ込まれる。



「こむぎさん。会えてよかったです。もう死にそうなくらい愛が溢れて大変なんです」



後ろから抱きつかれて、トドメの一撃をくらう。

優しく噛まれた耳には、

苦くて少し甘い痛みだけが広がって。

ゆっくり離した口元には、甘い毒が漂っている。

輝くようなピンク色の髪の毛は、宮瀬くんにそっくりで──



「さっさと殺していいですか?」



愛が歪んでる

愛に狂った、王子様。

これが彼──塩崎くんの本性だ。