遅すぎた後悔、でも君を離さない

朝の空気は冷たいのに、キッチンの中だけが息苦しいほど熱かった。

「まだ終わらないの?」

背後から落ちてきた声に、陽菜の肩がピクリと揺れる。

振り向かなくても分かる。
義母ー玲子だ。

「す、すみません。もう少しで・・・」

「もう少しって何回聞いたかしら」

カツン、と床に杖が鳴る。その音だけで、胸の奥がギュッと縮む。

陽菜は必死に手を動かした。
味噌汁、焼き魚、卵焼き、サラダ。
それに玲子専用の減塩食。

まだ朝の5時半だ。

正人はまだ寝ている。子供たちも。

でも、陽菜の1日はもう3時間前から始まっていた。

「まったく・・・さいきんの嫁は容量が悪いわね」

ため息が落ちる。

それだけで胸が締め付けられる。

「ごめんなさい・・・」