ルーカスは私のたった1人の王子様だ。
優しくて、美しくて、そして何よりも大きな愛で私を包んでくれる。
夜、日記を書き終えた後、私は自室のバルコニーからなんとなく夜空を見上げ、ルーカスのことを考えていた。
ルーカスはいわば、この夜空に輝くたった一つの月のような人だ。
対する私はどこにでもいるようなごくごく普通の存在。
焦茶の鎖骨より少し長い髪も、丸い新緑の瞳も、顔立ちさえもこれといって特徴がない。
いわば、この夜空に無数に瞬く星のようだ。
そんな私の婚約者があの特別な月だなんて。
すごく、すごく幸せだ。
だが、彼の愛はあまりにも深く、重すぎる。
その愛に幸福を感じる時ももちろんあるのだが。
「……はぁ」
複雑な思いが口から小さな息として漏れる。
自然と下がった視線の先、私の手首には、シンプルなシルバーの腕輪が光っていた。
紫と緑の小さな魔法石が埋め込まれているこれには、対となる腕輪がある。
その対となる腕輪の持ち主はもちろんルーカスだった。
この腕輪さえあれば、対となる持ち主のことを何でもリアルタイムに知ることができる。
腕輪から見える映像で相手が何をしているのか、拾える音でどんな話をしているのか、さらにはどこにいるのかまでもわかる。



