可愛い、私の婚約者。
こうやって彼の寝息を聞きながら、共に眠りに落ちたい。朝は彼の全てで始まり、昼は仕事の合間を縫って彼に会いに行くの。
全てが終わった夜には、共に食事をして…。
彼のことを考えれば、考えるほど愛おしさが込み上がってくる。
「…会いたいわ、ルーカス」
思わず呟かれた私の言葉は、誰に届くことなく、夜空へと消えていった。
ーーーその時だった。
ザザッと突然、腕輪から映し出されていた映像にノイズが入る。
見たことのない不具合に、「ん?」と首を傾げていると、次の瞬間にはバルコニーにルーカスがいた。
いつもなら綺麗にセットされている濃い紫の髪が夜風に吹かれて、サラサラと揺れている。
ゆるいガウン姿のルーカスはまさに今まで寝ていました、といった格好をしていた。
そう、彼は今の今まで確かに寝ていた。
その様子を私はこの目で見ていた。
なのに彼は、今、目の前にいる。
おそらく転移魔法を使ってきたのだ。
転移魔法は膨大なお金も技術もいる、こんなにも気軽に使えるものではないというのに。



