「ふざけるなよ!
黙って聞いてれば――」
酔っ払いが勢いよく立ち上がり、アリスに詰め寄ろうとした。
――あ、これダメなやつ。
そう思った瞬間には、
ルイと私は同時にガタンと椅子を蹴って立ち上がっていた。
「なんだよ、この!」
男が腕を振り上げる。
その腕を、ルイが寸分の迷いもなくキャッチ。
私はというと――
反射的に回し蹴り。
……が、寸止め。
男の鼻先で、ピタッ。
「……ひっ」
風圧だけで、完全に固まる酔っ払い。
「お嬢様には、指一本触れさせません」
「です!」
なぜか息ぴったりに声が揃う。
「な、ななん……」
情けない声を上げ、
男は後ずさった拍子にそのまま――
ドサッ。
見事な尻餅。
一瞬、店内が静まり返る。
「……お見事です、お嬢様」
アリスが口元を拭い、拍手でもしそうな調子で立ち上がる。
尻餅をついた男は目を見開き、
店員も客も、何が起きたのかわからずぽかんとしている。
私は男の前にしゃがみ込み、にっこり笑う。
「他のお客様のご迷惑です。
これ以上続けるなら――」
ちらりとルイを見る。
「ラピスラズリ伯爵家の騎士団を呼びますけど?」
「な、ななんだって!?」
「申し遅れました」
私は胸を張る。
「ティアナ・ラピスラズリです」
名前を聞いた瞬間。
「す、すみませんでした!!」
床にひれ伏す勢いで頭を下げる酔っ払い。
そして逃げようとした、その背中に――
「お代、まだですよ」
ぴたり。
男はびくっと止まり、
財布をひっくり返すように金を取り出す。
「つ、釣りはいらん!!」
そう叫び、
まるで追われているかのように店を飛び出していった。
残された店内には、
妙な沈黙。
黙って聞いてれば――」
酔っ払いが勢いよく立ち上がり、アリスに詰め寄ろうとした。
――あ、これダメなやつ。
そう思った瞬間には、
ルイと私は同時にガタンと椅子を蹴って立ち上がっていた。
「なんだよ、この!」
男が腕を振り上げる。
その腕を、ルイが寸分の迷いもなくキャッチ。
私はというと――
反射的に回し蹴り。
……が、寸止め。
男の鼻先で、ピタッ。
「……ひっ」
風圧だけで、完全に固まる酔っ払い。
「お嬢様には、指一本触れさせません」
「です!」
なぜか息ぴったりに声が揃う。
「な、ななん……」
情けない声を上げ、
男は後ずさった拍子にそのまま――
ドサッ。
見事な尻餅。
一瞬、店内が静まり返る。
「……お見事です、お嬢様」
アリスが口元を拭い、拍手でもしそうな調子で立ち上がる。
尻餅をついた男は目を見開き、
店員も客も、何が起きたのかわからずぽかんとしている。
私は男の前にしゃがみ込み、にっこり笑う。
「他のお客様のご迷惑です。
これ以上続けるなら――」
ちらりとルイを見る。
「ラピスラズリ伯爵家の騎士団を呼びますけど?」
「な、ななんだって!?」
「申し遅れました」
私は胸を張る。
「ティアナ・ラピスラズリです」
名前を聞いた瞬間。
「す、すみませんでした!!」
床にひれ伏す勢いで頭を下げる酔っ払い。
そして逃げようとした、その背中に――
「お代、まだですよ」
ぴたり。
男はびくっと止まり、
財布をひっくり返すように金を取り出す。
「つ、釣りはいらん!!」
そう叫び、
まるで追われているかのように店を飛び出していった。
残された店内には、
妙な沈黙。

