トワは、スッと息をすう。
「とくに孤児院でのボランティア」
空気が、ぴしりと張りつめる。
「ミヤに、魔女の雫を渡したのも――ぼくだ」
「……っ」
誰かが息を呑む。
「追い詰めれば、きっと歌うと思った」
淡々とした声だった。
「恐怖、劣等感、孤独。
あの子は、全部抱えてたから」
トワは小さく笑う。
「そしたらさ――」
ゆっくりと、指先を胸の前で握った。
「ティアナ様、剣を使わなかった」
「壊すでも、浄化するでもなく……」
静かに告げる。
「“共鳴”したんだ」
研究区画に、ひやりとした沈黙が落ちる。
「魔女の雫でもない。
誰かを支配する力でもなかった」
トワの瞳が、わずかに揺れた。
「感情に寄り添って、
痛みをそのまま受け止めて――」
「世界と、繋がった」
短く息を吸う。
「……あれは、覚醒だった」
彼は、遠い光景を思い返すように目を細める。
「正直、震えたよ」
かすかな笑み。
「恐怖で。
歓喜で。
嫉妬で」
「だって――」
まっすぐ、こちらを見た。
「魔女になるはずの存在が、
“人のまま”目を覚ましたんだから」
「そんな前例、どこにもなかった」
声は、わずかに掠れていた。
「歌わないセイレーン。
呪わない魔女。
救うことを選ぶ存在」
「……研究書には、一行も載ってない」
一瞬の沈黙。
「だから確信した」
トワは、静かに言う。
「ティアナ様は――
魔女より、ずっと危険だ」
「その力は、
誰かを壊すためじゃなく」
「“誰かの痛みを、終わらせるため”に使われる」
ふっと、自嘲気味に笑った。
「……世界の方が、耐えられなくなる」
その中で、彼の瞳が静かに揺れた。
「とくに孤児院でのボランティア」
空気が、ぴしりと張りつめる。
「ミヤに、魔女の雫を渡したのも――ぼくだ」
「……っ」
誰かが息を呑む。
「追い詰めれば、きっと歌うと思った」
淡々とした声だった。
「恐怖、劣等感、孤独。
あの子は、全部抱えてたから」
トワは小さく笑う。
「そしたらさ――」
ゆっくりと、指先を胸の前で握った。
「ティアナ様、剣を使わなかった」
「壊すでも、浄化するでもなく……」
静かに告げる。
「“共鳴”したんだ」
研究区画に、ひやりとした沈黙が落ちる。
「魔女の雫でもない。
誰かを支配する力でもなかった」
トワの瞳が、わずかに揺れた。
「感情に寄り添って、
痛みをそのまま受け止めて――」
「世界と、繋がった」
短く息を吸う。
「……あれは、覚醒だった」
彼は、遠い光景を思い返すように目を細める。
「正直、震えたよ」
かすかな笑み。
「恐怖で。
歓喜で。
嫉妬で」
「だって――」
まっすぐ、こちらを見た。
「魔女になるはずの存在が、
“人のまま”目を覚ましたんだから」
「そんな前例、どこにもなかった」
声は、わずかに掠れていた。
「歌わないセイレーン。
呪わない魔女。
救うことを選ぶ存在」
「……研究書には、一行も載ってない」
一瞬の沈黙。
「だから確信した」
トワは、静かに言う。
「ティアナ様は――
魔女より、ずっと危険だ」
「その力は、
誰かを壊すためじゃなく」
「“誰かの痛みを、終わらせるため”に使われる」
ふっと、自嘲気味に笑った。
「……世界の方が、耐えられなくなる」
その中で、彼の瞳が静かに揺れた。


