「……トワ」
名前を呼ぶと、彼は小さく首を傾げた。
「はい?」
「学校、楽しいこともたくさんあると思うけど……」
言葉を探す。
心配する理由なんて、本当は何もないはずなのに。
「無理はしすぎないで。
辛くなったら、ちゃんと頼りなさい」
トワは少し驚いたように目を瞬かせ、
それから、柔らかく笑った。
「ありがとうございます。お姉様」
その笑顔を見た瞬間――
胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
私は衝動のまま、彼を抱きしめていた。
「……え?」
トワの声が小さく揺れる。
「すぐ帰ってくるって分かってるのにね」
そう言いながら、私は腕に少しだけ力を込めた。
「でも……寂しいの」
それは嘘じゃなかった。
彼は一瞬戸惑い、
それからそっと、私の背に手を回した。
「……はい。必ず戻ってきます」
静かな声。
不思議なほど落ち着いた温度。
その落ち着きが、なぜか胸に引っかかった。
私はゆっくりと腕を離す。
「約束よ」
「はい。約束です」
列車の扉が閉まる。
白い蒸気の向こうで、トワが手を振った。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい!」
皆の声が重なり、列車は動き出す。
遠ざかる姿を見つめながら、
セナが小さく息を吐いた。
「……大きくなったな」
「ほんとにね」
テオも同意する。
私だけが、胸元をそっと押さえた。
(どうして……こんなに胸が騒ぐの)
答えは、もちろん出ない。
ただの別れ。
ただの旅立ち。
そう思いながらも――
夕焼けの中に消えていく列車を、いつまでも見送っていた。
名前を呼ぶと、彼は小さく首を傾げた。
「はい?」
「学校、楽しいこともたくさんあると思うけど……」
言葉を探す。
心配する理由なんて、本当は何もないはずなのに。
「無理はしすぎないで。
辛くなったら、ちゃんと頼りなさい」
トワは少し驚いたように目を瞬かせ、
それから、柔らかく笑った。
「ありがとうございます。お姉様」
その笑顔を見た瞬間――
胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
私は衝動のまま、彼を抱きしめていた。
「……え?」
トワの声が小さく揺れる。
「すぐ帰ってくるって分かってるのにね」
そう言いながら、私は腕に少しだけ力を込めた。
「でも……寂しいの」
それは嘘じゃなかった。
彼は一瞬戸惑い、
それからそっと、私の背に手を回した。
「……はい。必ず戻ってきます」
静かな声。
不思議なほど落ち着いた温度。
その落ち着きが、なぜか胸に引っかかった。
私はゆっくりと腕を離す。
「約束よ」
「はい。約束です」
列車の扉が閉まる。
白い蒸気の向こうで、トワが手を振った。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい!」
皆の声が重なり、列車は動き出す。
遠ざかる姿を見つめながら、
セナが小さく息を吐いた。
「……大きくなったな」
「ほんとにね」
テオも同意する。
私だけが、胸元をそっと押さえた。
(どうして……こんなに胸が騒ぐの)
答えは、もちろん出ない。
ただの別れ。
ただの旅立ち。
そう思いながらも――
夕焼けの中に消えていく列車を、いつまでも見送っていた。

