第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「あの、私に処罰とかありますか?」

「とんでもない。こちらの不手際でワインを飲ませてしまい、申し訳ありません……お気になさらず」

レイさんの言葉に、ほっと胸を撫で下ろす。
はぁあ、良かった――。
これがもし父の耳にでも入ったら、しんどすぎる。

「私もティアナ嬢の貴重な意見が聞けて勉強になったよ。これからは、ストレートにいくつもりだから覚悟してね」

――いや、何の覚悟よ。
思わず心の中で突っ込みを入れる。

ささっと殿下の部屋から出た後、自室に戻ると、ちょうどユウリと出くわした。

「お嬢様、いままでどちらに?」

「いや、あの……」
言いにくそうに言葉を濁す私を、ユウリはじっと見つめる。

「まさか、殿下の部屋にいたのですか?」

「あの、これには理由がぁぁ……!」
思わず絶叫する私に、ユウリは落ち着いた声で宥める。

「とりあえず、部屋の中でどうぞ」

――はぁ、どうしよう、落ち着かなくて心臓がまだバクバクしてる。
でも、ユウリがいるだけで少しだけ安心する。


昨夜の出来事を説明する流れになった。

「まさか……お酒、飲んだんですね」

静かだけど、圧がすごい。
その一言だけで、昨日の記憶がフラッシュバックしかける。

「はい」

即答。言い訳する気力はもうない。