第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

正直に言えば――
まだ、どこか納得がいかなかった。

私は残っていたメインのお肉を、最後まできちんと食べ切る。
冷めていても、レオの料理はやっぱり美味しい。

「レオ、ありがとう。
君は料理だけでなく、武術の心得もあるようだね。助かったよ」

殿下は涼しい顔でそう言い、まるで少し席を立った客に礼を言うような口調だった。

「い、いえ!」

レオは少し照れながら、デホラを殿下の騎士たちに引き渡す。

縄で拘束され、床に引き倒されるデホラ。

殿下はナプキンで口元を拭い、静かに立ち上がった。

「さて――
一応、聞いておこうかな」

穏やかな声。

「誰が私を殺せと命令した?」

一拍置いて、続ける。

「男爵から伯爵、いや……
公爵にでもしてやると言われたのだろう?」

デホラの肩が、びくりと跳ねる。

……図星だ。

「全く、あの人は懲りないな」

殿下は、どこか呆れたように息を吐く。

「わ、私は何も知らない……!」

デホラは必死に首を振り、殿下から視線を逸らす。

「そうだろうね。
あの人は証拠を残さない」

淡々とした声。

「だからこちらも、なかなか手が出せないんだ。
――さて、今なら自白する機会をあげよう。どうだい?」

「言うわけないだろう!!」

デホラが叫ぶ。

「お前は何も知らない!
この国の行く末をな!!」

高笑いしようとして――
突然、その声が歪んだ。