第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「殿下、失礼いたします。ティアナ様をお連れしました」

「うん、待っていたよ」

すでに席についていた殿下は、穏やかな笑みを浮かべてこちらを見る。

「お待たせいたしました。ドレスまでご用意いただき、ありがとうございます」

「気にしないでくれ。とてもよく似合っている」

さらりと言われて、思わず視線を逸らしてしまう。

レイさんが椅子を引いてくれ、殿下と向かい合う形で席に着く。

「殿下。トワ様がお休みになられたため、ユウリ様とルイ様はお部屋でお食事を取るよう手配いたしました」

「そうか。きっと疲れたのだろう」

短く、だが思いやりのある返答だった。

そのとき――

「失礼しまーす! お食事お持ちしました!」

元気いっぱいの声と共に、レオが入ってくる。
殿下の前だというのに、まるで気後れした様子がない。

……ある意味、すごい。

事情はすでに伝わっているようで、2人分の料理を手際よく並べていく。

「美味しそうだね」

殿下が素直に感想を漏らす。

「ありがとうございます!
前菜は、スモークサーモンとクリームチーズのカクテルサラダ、それから帆立貝のパートフィロー包み、鴨肉のカルパッチョです!」

色とりどりに盛り付けられた料理は、目にも楽しい。
香りもよく、自然と食欲をそそられる。

――さすが、レオ。