「さすがに賢いティアナ嬢でも、そこまでは気にならなかったようだね。
昔お世話になった人との再会だ。感情が先に来るのも無理はない」
「……それもそうですね」
レイは一瞬だけ考え込んでから、静かに続ける。
「そういえば、ナタリーさんの部屋の外に、見張るように立っている人物がいました。
施設の職員にしては不自然でしたね」
「ほう」
「その人物についても調べておきます」
「お、さすがだね」
楽しそうに口角を上げる。
「そういうところにすぐ気づいてくれるから、レイのこと好きなんだよ」
「……非常に有難いお言葉です」
そう言いながらも、表情は一切変わらない。
相変わらずだ。
「まあ、いい」
背もたれに体を預け、視線を宙に投げる。
部屋の外で、雷鳴が轟いた。
ティアナ嬢が受け取ったという“小袋”のことを思い出す。
「ナタリーは何かを隠している可能性が高い」
「施設に潜り込んで調べますか?」
「いや、まずは静かに。
過去の経歴、ラピスラズリ伯爵家との関係、
そして――アイリスという女性との接点だ」
「承知しました」
レイは深く一礼する。
「ティアナ様には?」
「…まだ、知らせない。」
俺はそう続けた。
「さて――残るはデホラだ」
「動きますか?」
「ああ」
静かに、だが確信を持って告げる。
「餌はもう撒いた。
ああいう男は、不安と恐怖が膨らめば必ず動く」
窓の外で雷鳴が響いた。
「今夜にでも、のこのこ這い出てくるだろう」
私は立ち上がり、レイに視線を向ける。
「一階北側の窓を、少しだけ開けておいてくれ」
「……侵入経路を与える、と」
「そう」
薄く笑う。
「害虫駆除には、逃げ道が必要だからね」
レイは一礼する。
「承知しました」
嵐の夜。
闇に紛れて動く者と、闇を待っていた者。
今夜は、長くなりそうだ。
昔お世話になった人との再会だ。感情が先に来るのも無理はない」
「……それもそうですね」
レイは一瞬だけ考え込んでから、静かに続ける。
「そういえば、ナタリーさんの部屋の外に、見張るように立っている人物がいました。
施設の職員にしては不自然でしたね」
「ほう」
「その人物についても調べておきます」
「お、さすがだね」
楽しそうに口角を上げる。
「そういうところにすぐ気づいてくれるから、レイのこと好きなんだよ」
「……非常に有難いお言葉です」
そう言いながらも、表情は一切変わらない。
相変わらずだ。
「まあ、いい」
背もたれに体を預け、視線を宙に投げる。
部屋の外で、雷鳴が轟いた。
ティアナ嬢が受け取ったという“小袋”のことを思い出す。
「ナタリーは何かを隠している可能性が高い」
「施設に潜り込んで調べますか?」
「いや、まずは静かに。
過去の経歴、ラピスラズリ伯爵家との関係、
そして――アイリスという女性との接点だ」
「承知しました」
レイは深く一礼する。
「ティアナ様には?」
「…まだ、知らせない。」
俺はそう続けた。
「さて――残るはデホラだ」
「動きますか?」
「ああ」
静かに、だが確信を持って告げる。
「餌はもう撒いた。
ああいう男は、不安と恐怖が膨らめば必ず動く」
窓の外で雷鳴が響いた。
「今夜にでも、のこのこ這い出てくるだろう」
私は立ち上がり、レイに視線を向ける。
「一階北側の窓を、少しだけ開けておいてくれ」
「……侵入経路を与える、と」
「そう」
薄く笑う。
「害虫駆除には、逃げ道が必要だからね」
レイは一礼する。
「承知しました」
嵐の夜。
闇に紛れて動く者と、闇を待っていた者。
今夜は、長くなりそうだ。

