「その言葉を聞けて安心したよ」
何故か、殿下は機嫌が良さそうだ。
柔らかな微笑みが、馬車の中の空気を少し温める。
「そういう殿下は、お相手はいらっしゃらないのですか?」
第一王子。婚約者候補は何人もいると聞いている。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群――非の打ち所がない。
少々、性格に難があるかもしれないが。
「おや、気になるかい?」
色っぽく小首を傾げる。
その仕草に思わず視線が吸い寄せられる。
「いえ、全く」
「はは、釣れないなー」
目の前の殿下は、何を考えているのかまったく読めない。
穏やかに笑っているその奥で、きっと先の先まで見越しているのだろう。
殿下の結婚相手は、きっと国の繁栄や利益が最優先となる。
自分の気持ちを優先することは、難しいだろう。
それは――私にとっても同じことだ。
それでも。
もし将来を共にするのなら、
お互いに信頼できる相手であってほしい。
「殿下は…」
言いかけたところで、馬車がゆっくり停まる。
「ついたみたいだね。何か言ったかい?」
「いえ、行きましょう」
馬車を降りると、殿下がさっと手を差し伸べ、自然にエスコートしてくれる。
手の温もりが伝わり、少し胸がざわついた。
雨上がりの空気が、しっとりと落ち着いた香りを運ぶ。
何故か、殿下は機嫌が良さそうだ。
柔らかな微笑みが、馬車の中の空気を少し温める。
「そういう殿下は、お相手はいらっしゃらないのですか?」
第一王子。婚約者候補は何人もいると聞いている。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群――非の打ち所がない。
少々、性格に難があるかもしれないが。
「おや、気になるかい?」
色っぽく小首を傾げる。
その仕草に思わず視線が吸い寄せられる。
「いえ、全く」
「はは、釣れないなー」
目の前の殿下は、何を考えているのかまったく読めない。
穏やかに笑っているその奥で、きっと先の先まで見越しているのだろう。
殿下の結婚相手は、きっと国の繁栄や利益が最優先となる。
自分の気持ちを優先することは、難しいだろう。
それは――私にとっても同じことだ。
それでも。
もし将来を共にするのなら、
お互いに信頼できる相手であってほしい。
「殿下は…」
言いかけたところで、馬車がゆっくり停まる。
「ついたみたいだね。何か言ったかい?」
「いえ、行きましょう」
馬車を降りると、殿下がさっと手を差し伸べ、自然にエスコートしてくれる。
手の温もりが伝わり、少し胸がざわついた。
雨上がりの空気が、しっとりと落ち着いた香りを運ぶ。

