第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


2時間後
汽車が湖畔の駅にゆっくりと停まる。
水面に反射する朝の光が、きらきらとまぶしい。
空気はひんやりと澄んでいて、少し深呼吸すると心がすっと落ち着く。

「着いたよ、お姉様!」

トワが小さくジャンプして駆け出す。


「よし、準備万端ね」
ルイの視線は、湖のほとりの道までしっかりカバーしている。
その頼もしさに、自然と背筋が伸びる。

レオは胸を張り、得意げに肩を揺らす。

「俺もちゃんと守るから!
お嬢さま、安心して!」

「ありがとう、レオ」
笑顔を返すと、心のどこかでほっとする。
二人の存在が、湖畔の静けさの中で、確かな安心をくれる。

「荷物は私が持つから、少し身軽になってね」
ルイがにこりと微笑む。
手にした籠の中には、水筒や毛布、軽食などがぎっしり詰まっている。

「じゃあ、湖畔の探検、始めようか!」

レオが大声で言うと、皆が笑い声を上げながら湖畔の小道を歩き出す。
水面に映る木々の影が、揺れながらついてくる。

汽車の揺れとはまた違う、心地よい波の揺れに身を任せながら、
私は思う。

――今日、ここに来てよかった。
不安や迷いがあっても、仲間と一緒なら、どんな道でも歩ける気がする。

湖畔の風が、髪をそっと撫でる。
ルイが肩越しに笑い、レオがふざけて水辺を蹴る。
トワとユウリの笑顔も温かい。


しばらく遊んだあと
ピクニックシートを広げてランチタイム。
レオがせっせと用意してくれた料理の数々が、色とりどりに並ぶ。

「うーん、美味しい!
レオの料理は最高だよ」

トワが笑う。

「このカモのハニーロースト、とても絶品です」

「ほんと、おいしいー」

ユウリとルイも褒める。

「レオ、本当に美味しいね。ありがとう」

私もお礼をいう。

「おう!」

レオも誇らしげに胸を張り、トワの頭をポンポンと撫でる。
なんだか微笑ましくて、胸が温かくなる。