第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

アリスが手際よく私の髪をサイドに三つ編みにしてくれる。
マリン風の襟付きワンピースも、迷わず選んでくれた。

「お嬢様、お気をつけていってきてくださいね。荷物はまとめてありますので」

「ありがとう」

「お姉様、今日はよろしくお願いします」

トワがぴょんと可愛くお辞儀をする。
トワもマリン風コーデで私とおそろいだ。
その無邪気な笑顔に、少し安心する。

「こちらこそ、よろしくね」

「お嬢さーん、今日はよろしくお願いします!!」

「レオもよろしくね」

「私まで誘ってくれてありがとう!今日は楽しみましょう」

ルイも爽やかに笑う。
今回の湖畔行きは、ユウリ、レオ、ルイ、トワ、そして私の5人だ。
護衛騎士としてセナも来る予定だったが、父からの命令で、どうしても断れない任務ができてしまった。
昨日の彼の心配そうな顔が頭をよぎる。

テオも湖畔に行きたがっていたけれどセナと一緒に任務だ。

護衛をつけないことを非常に心配していたセナも、事情を理解した上で、
レオとルイが湖畔でも十分に守れると判断し、2人が同行することを条件に許可をくれた。

「珍しく、仕事を嫌がってたなー」

笑みを浮かべながら、汽車の揺れに身を任せる。
窓の外の景色がゆっくり流れていく中、胸の奥で少しだけ期待と不安が混ざる。


「うわ!! すごいですね!!」

歓喜の声をあげるレオを、ユウリがくすりと笑って注意する。

「レオ、あまり騒がないように」

こう見えて、レオの方がユウリより年上なのだが、そうは見えないところが可笑しい。

朝早く出発したせいか、隣でトワがうとうとしている。
肩をそっと貸すと、静かに寝息が聞こえてきて、思わず微笑む。