空気が張りつめる中、私は小さく息を吸い込む。
「ごめん、ユリア。
急ぎの用を思い出したの。また、あとでね。」
「はい。お気をつけて。」
「ありがとう。」
ユリアの柔らかな笑顔を視界に焼きつけたまま、私は駆け出した。
――今は、淑女の嗜みだとか、そんなものはどうでもいい。
どうして、気づかなかったの。
走りながら、記憶が一気に巻き戻される。
ナタリーさんとの、あの会話。
ナタリーさんに会いに行ったのは、
私、ユウリ、ディラン、レイさんそしてオーウェン団長の―5人だった。
それなのに、ナタリーさんは私のことも、ユウリのことも分からなかった。
その時点で、どこかおかしかったのに。
それでもナタリーさんは、私と話している最中に、こう言った。
「……後ろの2人は、誰?」
私は深く考えもしなかった。
すぐ後ろにいたのは、ディランとレイさん。
そう、思い込んでいたから。
――でも、違う。
そこには、ユウリもいた。
本当なら、
「3人は誰?」
あるいは
「他の人は誰?」
そう聞くはずだった。
なのに、ナタリーさんは「2人」と言った。
背筋が、冷たくなる。
ナタリーさんは、ボケてなんかいなかった。
分からなかったんじゃない。
――知っていて、知らないふりをした。
秘密を隠すために。
そして、その秘密を――私に託すために。
私は胸元で、あの小さな種を強く握りしめた。
ラナンキュラス。
花言葉は――秘密。
「ごめん、ユリア。
急ぎの用を思い出したの。また、あとでね。」
「はい。お気をつけて。」
「ありがとう。」
ユリアの柔らかな笑顔を視界に焼きつけたまま、私は駆け出した。
――今は、淑女の嗜みだとか、そんなものはどうでもいい。
どうして、気づかなかったの。
走りながら、記憶が一気に巻き戻される。
ナタリーさんとの、あの会話。
ナタリーさんに会いに行ったのは、
私、ユウリ、ディラン、レイさんそしてオーウェン団長の―5人だった。
それなのに、ナタリーさんは私のことも、ユウリのことも分からなかった。
その時点で、どこかおかしかったのに。
それでもナタリーさんは、私と話している最中に、こう言った。
「……後ろの2人は、誰?」
私は深く考えもしなかった。
すぐ後ろにいたのは、ディランとレイさん。
そう、思い込んでいたから。
――でも、違う。
そこには、ユウリもいた。
本当なら、
「3人は誰?」
あるいは
「他の人は誰?」
そう聞くはずだった。
なのに、ナタリーさんは「2人」と言った。
背筋が、冷たくなる。
ナタリーさんは、ボケてなんかいなかった。
分からなかったんじゃない。
――知っていて、知らないふりをした。
秘密を隠すために。
そして、その秘密を――私に託すために。
私は胸元で、あの小さな種を強く握りしめた。
ラナンキュラス。
花言葉は――秘密。

