「殿下なりの優しさだと、わかっています」
ティアナ様は微笑む。
「ただ……いつも、まどろっこしいんですよね」
その笑顔を見た瞬間、胸がわずかに揺れた。
この方は、殿下を拒絶してなどいない。
理解し、受け止め、なお隣に立とうとしている。
私はずっと思っていた。
彼女は、殿下に利用されることへの怒りを抱いているのではないかと。
だが、違った。
すべてを理解したうえで――
それでも共に戦うと、静かに覚悟しているのだ。
「……それを、殿下には?」
思わず尋ねていた。
知れば、殿下はきっと安堵し、喜ぶだろう。
だがティアナ様は、軽く首を横に振った。
「言いませんよ」
微笑みながら、あっさりと。
「私、殿下のこと……好きではないので」
その言葉とは裏腹に、
陽光に照らされた横顔はあまりにも柔らかく、美しかった。
彼女の胸元に、かすかな熱のようなものが揺れているのが分かる。
言葉では否定しても、
瞳の奥には、ほんの僅かな期待と好奇心が確かに宿っていた。
その矛盾が、胸を締めつける。
――殿下が、この方を手放すはずがない。
「……そうですか」
無邪気さと理知、優しさと強さ。
そのどれもが同居する複雑さを、殿下はきっと最初から見抜いていた。
ティアナ様は、少し頬を上気させて立ち上がる。
「では、そろそろ戻りましょうか」
歩き出す背中を見つめながら、私は無意識に息を呑んだ。
だが確かに――心を揺さぶられている何かがあった。
ティアナ様は微笑む。
「ただ……いつも、まどろっこしいんですよね」
その笑顔を見た瞬間、胸がわずかに揺れた。
この方は、殿下を拒絶してなどいない。
理解し、受け止め、なお隣に立とうとしている。
私はずっと思っていた。
彼女は、殿下に利用されることへの怒りを抱いているのではないかと。
だが、違った。
すべてを理解したうえで――
それでも共に戦うと、静かに覚悟しているのだ。
「……それを、殿下には?」
思わず尋ねていた。
知れば、殿下はきっと安堵し、喜ぶだろう。
だがティアナ様は、軽く首を横に振った。
「言いませんよ」
微笑みながら、あっさりと。
「私、殿下のこと……好きではないので」
その言葉とは裏腹に、
陽光に照らされた横顔はあまりにも柔らかく、美しかった。
彼女の胸元に、かすかな熱のようなものが揺れているのが分かる。
言葉では否定しても、
瞳の奥には、ほんの僅かな期待と好奇心が確かに宿っていた。
その矛盾が、胸を締めつける。
――殿下が、この方を手放すはずがない。
「……そうですか」
無邪気さと理知、優しさと強さ。
そのどれもが同居する複雑さを、殿下はきっと最初から見抜いていた。
ティアナ様は、少し頬を上気させて立ち上がる。
「では、そろそろ戻りましょうか」
歩き出す背中を見つめながら、私は無意識に息を呑んだ。
だが確かに――心を揺さぶられている何かがあった。

