レイside
数日後。
殿下と盟約を交わすため、ティアナ様を殿下の隠れ家へと案内した。
ユウリさんも同行している。
「きれいなガーデンですね」
柔らかな声でそう言って、ティアナ様が微笑む。
季節の花が咲き誇る庭園は、殿下が数少ない安らぎの場として選んだ場所だ。
その空気に自然と溶け込む彼女の姿を見て、胸の奥が静かにざわめいた。
――やはり、この方は不思議だ。
「殿下が戻るまで、少しご案内いたしましょう」
「お願いします」
そのやり取りの後、ティアナ様は振り返り、穏やかにユウリさんへ告げる。
「ユウリ、ここで待っていて」
まるで、私が話したがっていることを察したかのように。
静かなガーデンを歩きながら、私は言葉を探していた。
護衛として、側近としてではなく――
一人の人間として、どうしても伝えておきたいことがあった。
「……殿下のやり方は、冷酷に感じたかもしれません」
歩みを緩め、口を開く。
「それでも宝石の被害を、これ以上広げないための最善の判断でした。
決して、ティアナ様を……駒だとは思っておりません」
言葉にした瞬間、自分でも意外なほど胸が張りつめた。
ティアナ様は、ゆっくりとこちらを見上げる。
驚くほど穏やかな表情で。
「わかってますよ」
その一言に、思わず息を止めた。
「殿下は、自分のやり方を隠さず、最後まで逃げ道を示してくれました。
まだ、引き返すこともできるって」
静かな声音。
「本のこともそうですけど……殿下は、私が自分と対等でいてくれることを期待していたのかもしれませんね」
そう言って、少しだけ肩をすくめる。
「まあ、その期待に応えられているかは分かりませんし、
そんなこと、私はあまり気にしていませんけど」
イタズラっぽく笑うその顔に、胸の奥がじんと熱くなった。
――そこまで、見抜いていたのか。
殿下の合理性も、冷酷に見える決断の裏側も。
誰よりも近くで見てきた私でさえ、時に割り切れなかった部分を。
数日後。
殿下と盟約を交わすため、ティアナ様を殿下の隠れ家へと案内した。
ユウリさんも同行している。
「きれいなガーデンですね」
柔らかな声でそう言って、ティアナ様が微笑む。
季節の花が咲き誇る庭園は、殿下が数少ない安らぎの場として選んだ場所だ。
その空気に自然と溶け込む彼女の姿を見て、胸の奥が静かにざわめいた。
――やはり、この方は不思議だ。
「殿下が戻るまで、少しご案内いたしましょう」
「お願いします」
そのやり取りの後、ティアナ様は振り返り、穏やかにユウリさんへ告げる。
「ユウリ、ここで待っていて」
まるで、私が話したがっていることを察したかのように。
静かなガーデンを歩きながら、私は言葉を探していた。
護衛として、側近としてではなく――
一人の人間として、どうしても伝えておきたいことがあった。
「……殿下のやり方は、冷酷に感じたかもしれません」
歩みを緩め、口を開く。
「それでも宝石の被害を、これ以上広げないための最善の判断でした。
決して、ティアナ様を……駒だとは思っておりません」
言葉にした瞬間、自分でも意外なほど胸が張りつめた。
ティアナ様は、ゆっくりとこちらを見上げる。
驚くほど穏やかな表情で。
「わかってますよ」
その一言に、思わず息を止めた。
「殿下は、自分のやり方を隠さず、最後まで逃げ道を示してくれました。
まだ、引き返すこともできるって」
静かな声音。
「本のこともそうですけど……殿下は、私が自分と対等でいてくれることを期待していたのかもしれませんね」
そう言って、少しだけ肩をすくめる。
「まあ、その期待に応えられているかは分かりませんし、
そんなこと、私はあまり気にしていませんけど」
イタズラっぽく笑うその顔に、胸の奥がじんと熱くなった。
――そこまで、見抜いていたのか。
殿下の合理性も、冷酷に見える決断の裏側も。
誰よりも近くで見てきた私でさえ、時に割り切れなかった部分を。

