第二部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


「もうとっくに戦う覚悟をしたつもりだったの。
でもその考えが甘かったってきづいた」

拳を、きゅっと握る。
誰かの悪意で傷ついた人達の顔が浮かぶ。

殿下の目が、ほんの少し揺れるのがわかった。

「剣を振るう、って意味だけじゃない。
選ぶことも、責任を持つことも、全部含めて。」

私は、セナを見る。

「セナあなたが心配してくれてるの、ちゃんとわかってる。怒ってくれて嬉しかった」

だからこそ――

「大丈夫。私は、自分で選ぶ」

殿下へ、まっすぐに言う。

「共犯にでもなるし共闘もする」

言い切った瞬間、胸の奥がすっと静かになった。

「中途半端な覚悟で言ってるわけじゃない。
殿下が背負う覚悟を見たから……私も背負うって決めた」

沈黙。

最初に息を吐いたのは、セナだった。

「……本当に、止められないな」

その声に、少しだけ笑ってしまう。

殿下は、深く一礼した。

「選んでくれて、ありがとう。
君を“駒”として扱うことは、二度としない」

「ええ」
私は頷く。

「その代わり――」

一拍、置いて。

「同じ場所に立たせてください」

夜風が、3人の間を通り抜けた。

守る人。
守られる人。
そして、共に背負う人。

その境界線が、今、確かに塗り替えられた。

――選んで、立つ。仲間とともに…