「相田さんさ、何かあった?」
「え……?」
「すごい雨だったのに、傘も差さずに公園にいたから」
コーヒーを飲みはじめて少ししてから、槙田くんが優しくそう聞いてきた。
正直、さっきの出来事を話すのは、彼氏に振られたことを思い出して少し辛かったけど、ここまでしてもらったのに何も言わないわけにはいかないよね。
「付き合ってた人に振られちゃって。そのショックでしばらく動けなかったというか……」
「そっか。ごめんね。辛いことを言わせちゃって」
簡単に状況を説明すると、槙田くんは申し訳なさそうに謝ってくれた。
そんな槙田くんの顔を見て、ただゼミが同じというだけの関係の相手に話すようなことじゃなかったなって少し後悔した。
「ううん。こんな話されても困っちゃうよね。こちらこそごめんね」
気まずい空気になってしまったことを誤魔化すように、コーヒーをごくんと飲む。
槙田くんが入れてくれたコーヒーは、砂糖とミルクの加減がちょうど良くて、あっという間にカップの中身を飲み干してしまった。
飲み終えたマグカップをテーブルの上に置き、目の前に座る槙田くんがコーヒーを飲んでいる姿を見ていると、彼と目が合った。
すると彼は静かに立ち上がり、飲みかけのカップをテーブルに置いて私の隣に座ってきた。

