ここに呼び出された時、空は綺麗に晴れていたのに、別れ話をされてから空はどんどん曇ってきて、泣かなかった私の代わりに雨が降ってきた。
彼が好きになった子は、大学で可愛いと人気の女の子だった。
その子には勝てないと思って別れることを拒否しなかったら、それがまた彼は面白くなかったみたいで、お前はつまらない女だって捨て台詞を言って帰っていった。
つまらない女か……。
よく言われる。友達も決して多くないし。
人見知りをするから、心を許した人以外とあまり話さないし、面白いことも言えない。
それでも彼は、そんな私が好きだと言ってくれたのに、やっぱり学年で人気の女の子には勝てないってことなんだろうな。
雨は容赦なく降り続く。季節は秋。10月。
この時期に雨に当たっているのは、やっぱり少し寒くて震えてしまう。
そろそろ帰らなきゃ……。そう思った時。
「これ以上、濡れたら風邪ひいちゃうよ」
下を向いて地面をみつめていた私は、頭上から聞こえてきた声に顔を上げた。
顔を上げた先にいたのは、自分の傘に私を入れて、こちらを優しくみつめる一人の男の人の姿。
私はこの人を知っている……。
同じ大学で、同じ学部の 槙田翔真くんだ。
「俺の家、ここから歩いてすぐなんだ。こんなに濡れていたら寒いでしょ」
槙田くんは自身が着ていた上着を脱ぐと、私にかけ、そのまま腕を引いて、半ば強引に手を繋いで歩き出した。

