ハロー

父親の言葉に、高校三年生の兄と中学三年生の姉も言った。

「俺も英語のスピーチの練習あるから遅くなる。スピーチの練習した後、勉強会もするからさ〜」

「私は吹奏楽部の練習。もうすぐコンクール近いから絶対遅くなるかも。あっ、帰りは友達と食べてきていい?テスト近いからファミレスでちょっと勉強する」

母親はスマホを見るのをやめ、兄と姉の言葉に耳を傾けている。真剣な顔で頷いた後、口を開いた。

「みんな遅くなるのね。私も会議が長引くだろうから、今日はみんなそれぞれご飯は食べて帰る形にしましょう。……未来、あんたは家に帰ってきてちょうだい。洗濯物と掃除を頼みたいから。適当に何か作れるでしょ」

「勉強できないんだったら、せめて家事は最低限覚えないとね。いいところに就職できなさそうだし、お嫁さんにならなきゃ人生終わりだよ」

姉に小馬鹿にしたように言われ、未来は俯く。この家に未来の居場所はない。味方もいない。

上場企業の会社員である両親。成績優秀で部長を務めるテニス部でも優秀な成績を残している兄。吹奏楽部の部長で、生徒会役員もこなしている成績優秀な姉。未来だけが、勉強も運動も苦手だ。