迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~



 フィリーネは隣に立っている芸術品の如く典麗なシドリウスを見つめる。
 きらきらしい美しさを纏うシドリウスがこの空間にいると、それだけで華があった。

(流石は絶世の美を誇るシドリウス様です。シドリウス様の顔を見てうっとりとしたご令嬢たちから、熱い視線を感じます)
 しかし、彼女たちが熱い視線を送るだけで一向に話しかけて来ないのは、隣にカロンがいるからだろう。

 エリンジャー家のカロンが隣にいるとあって、彼女たちはシドリウスとお近づきになりたくともできないらしい。ある意味、カロンが強固な壁となっているようだ。
 そして、今は別の問題によって注目を集めていた。それはカロンと親交を深めたい令息たちが先ほどから入れ替わり立ち替わりやって来て、挨拶をするのだ。

 カロンは柔和な微笑みを浮かべつつも、言い寄ってくる令息たちを返り討ちにしていた。
 隣にいるシドリウスは面白くないのか舌打ちをする。

「さっきから男どもの視線が鬱陶しいな。フィーが可愛いからといって、あんなにジロジロと見てくるのは不快で堪らない」
 フィリーネは首を傾げる。
「私ではなくカロンさんでは?」