迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~



(今年もお父様とお姉様は必ず舞踏会に参加されます。特にお姉様はランドレイス様の婚約者ですから出席しないわけにいきません。もし、私が参加しているのがバレてしまったら、なんと言われるでしょうか)

 大好きなアーネストの舞踏会を穢すなんて、と叱責されるかもしれない。それだけならまだ良いが、また突拍子もない罰を言い渡されたらどうしよう。
 想像を巡らせて顔を青くしていたら、シドリウスが優しく声をかけてくれる。


「今回は例年よりも参加人数が多いと聞いている。それに、大半が人脈を広げるために来ているだけだ。世間話に花を咲かせているからダンスで失敗しても咎める人間はいない」
 ハッとしたフィリーネは顔を上げる。
 大勢の参加者がいる中で、ミリーネたちと出くわす可能性はまずないだろう。

 また、この数ヶ月でフィリーネの容姿は見違えていた。
 まず、シドリウスに視力を治してもらったので眼鏡はかけていない。
 痩せっぽちだった身体は肉付きが良くなったし、パサパサだった髪もカロンが手入れをしてくれたおかげで艶が出て綺麗になった。
 肌もヒュドーからもらったラベンダーの香油を塗って以降、しっとりとしている。当日は化粧もするだろう。

 何よりも、そんな有力者たちが集まる場にフィリーネが参加しているだなんて二人は夢にも思わないはずだ。
 そう思うと、不安がただの杞憂であるように思えてくる。