孤独と仲間

『レディース・アンド・ジェントルメン。
まもなく当船は港を離れ、航海へと出発いたします。
ご乗船中のお客様は、安全のため手すりにつかまり、お足元にご注意ください。
本日はご乗船いただき、誠にありがとうございます。
どうぞ、これから始まる優雅な船の旅を心ゆくまでお楽しみください。
それでは皆さま、素晴らしい航海を。』

繰り返しで流れる、落ち着いた声のアナウンス。

それと同時に港から離れ、出航した。

メインホールでは優雅なパーティーが既に始まっていた。

「例の件なんだけど...。」

「もちろん、ワタシは賛成するよ。」

「O-23、発表見たんだけどな。」

「……そうそう。そういえばね、」

もう何回も来ているのか、グループが出来ていてわちゃわちゃと話をしていた。

……普通の声で話してくれているおかげで情報は充分だ。

一人で満足していると。

「……キミ、一人?」

振り返ると50代くらいのおじさんが立っていた。

「あ...、一人ですよぉ。」

最初は怯えて、でもぶりっ子要素も入れて喋る。

「そうか、そうか。いや、美人だなぁと思って。」

「えへへ。そうですかぁ?」

…確かこの人、軍需企業幹部だ。

幹部の中で一番端の人だけど警戒すべき一人。

「初見で?」

「あ、はいっ!そうですっ!」

「そうか。楽しむといいよ。」

「はあいっ。あー、そういえば噂で聞いたんですけどぉ、気になってることがあってぇ。」

「おぉ。」

「えっとぉ、O-23っていうのがあるらしくて〜。どんなのかなぁ?知りたいでぇす。」

上目遣いでうるうるの瞳で言う。

軍需企業幹部はうっ、となったものの、気を取り直して言った。

「…キミ、美人さんだから特別に教えてあげよう。」

「えっ、ありがとうございますぅ!」

こんなにすんなり教えてくれるとは。

「O-23ってのは、生物兵器なんだけどね。前に病原体が見つかってー。それが結構危険なんだよ。」