孤独と仲間

情報収集は全く進まず、帰る時間になってしまった。

まぁ、そうだ。

こんな朝からパーティーしたくないだろう。

『レディース・アンド・ジェントルメン。
まもなく本船は帰港いたします。
長い航海の末に迎えるこの美しい港町の景色を、どうぞデッキからもお楽しみください。
下船はまもなく開始いたします。
係員の案内に従って、安全にお進みください。
誠にありがとうございました。』

船内の中で響き渡る帰港のアナウンス。

荷物を全てまとめて、指紋などの個人情報がわかるものの処理も完了。

まだ頭が痛いけれど、耐えられる。

私はスーツケースを持って部屋を出た。

…廊下を通る人は2、3人。

あとこっちに走ってくる人の気配が2つ。

…あーー、副作用なっが。大丈夫かな。これ。

どんどん痛くなってくる頭を押さえる。

だか、走ってくる人の足音がだんだんと近づいてきて——

ドンッ!

「おわっ!」

「わっ。」

ああぁ。避け切れなかった…。

すごい勢いで走ってきた人の1人は私とぶつかり倒れ込んできた。

私は反射神経で避けようと思ったんだけど、思ったよりの速さで走ってきたし、こんな体調だからか対応できなかったのだ。

くやしい。

「…ええっと、すみません。大丈夫ですか?」

私が声かける。

「…すみません。悠馬、先行ってろ。」

「はいはい。さっさとしてくださいよ。」

悠馬と呼ばれた男子が廊下を走っていくと、倒れ込んできた男子が私を見る。

私も男子を見たんだけど...。

……。

国宝?

最初に思ったのがそれだった。

無駄のない輪郭に、すっと通った鼻筋。長いまつ毛の奥にある瞳は静かで、どこか冷たい光を宿している。感情をあまり表に出さない表情だった。

顔が整いすぎている。どこかの芸能人かな。見たことないけど。

加夜と並ぶかもしれない。加夜も姉ながらもすごいイケメンだといつも思う。

「…あの、ごめんなさい。私の不注意で。」

「いや。俺も走ってたんで。」

低く、深い声が染み込んでくる。

うっわぁ。これ、イケメン用の声じゃん。

私はイケメンとか興味ないけど、同類の人も自然と見てしまう。

男子は立つと手を差し出してきた。

なっが、足。

いちいち心が反応しつつも手を取り、立つ。

「ありがとうございます。…高校生?」

大人っぽさがあるけど、私と同じ高校生な雰囲気。