仕事終わりの帰り道。
夜の9時頃。残業で疲れた体を引きずって夜の街を歩く。
一刻も早く家に帰りたくて、普段は通らない裏路地を通った。
そこは治安が悪くて、前に通った時、たまたま喧嘩の最中を見てしまったから。
やっぱり、怒鳴り声や殴る音だとかが聞こえてくるから足早に通り過ぎる。
が、あと少しで路地を抜ける、というところで。
血だらけでぐったりと壁にもたれ掛かった男の子を見てしまった。
「……」
普段ならば見ないふりで通りすがる。
でも、今日は力無く項垂れるその人が私と重なって見えて。
ただの偽善だ。
この人は危ない人かもしれない。
逆に私が被害を受けるかもしれない。
助けてどうなるか分かったことじゃない。
どこか冷静な理性はそんなふうにいってるのに。
私は結局、気を失っているその人を家まで連れてきてしまった。

