彼は魅惑のバレリーノ


「甘いもの食べて元気になってね。足りなかったら追加すればいい。」

「いやそれは太る!」

「いいじゃん。痩せた分取り戻さないと。」

クスッと笑う。

……か、かっこいい。
その笑い方ずるい。反則。

私は黙々とパンケーキを食べる。
ふわふわで甘くて、気持ちが少し落ち着く。

ふと、視線を感じて顔を上げる。

「あ、食べたかった? ごめん、気づかなくて。」

「違う違う。」

柊くんは首を振って、少しだけ目を細めた。

「美味しそうに食べてる姿が、あのスノードームのリスに似てるなって。」

「それバカにしてるやつ。」

「してないよ。
可愛いなって思ってた。」

……心臓に悪い。

胸の奥が一気に熱くなる。
耳まで熱い。
パンケーキの甘さより、彼の言葉のほうが甘い。

彼は誰にでも優しい人。
そう思っていたのに——

こんな言い方されたら、
期待しちゃうじゃん。

「……可愛いって簡単に言わないでよ。」

小さく呟くと、
柊くんはコーヒーを口に運びながら、
ほんの少しだけ口角を上げた。

「簡単じゃないよ。」

その一言が、
また心臓をぎゅっと掴んでくる。

それってどういう意味…って聞きたかったけどそんな勇気は微塵もないや。