玄関のドアをそっと開ける。
「お、お待たせ…」
そこに立っていた柊くんは——
一瞬、目を丸くした。
驚いた、というより。
ほっとしたような、安心したような顔。
「……調子はどう?」
声がやわらかい。
寝起きの私を見て、引くどころか、
むしろ心配がほどけたみたいな顔をしている。
「大丈夫だよ。」
「よかった。おはよう。一華さん。」
「ご、ごめん…寝過ぎちゃって…」
「いいよ。疲れてたんだから。」
そう言って、
ふっと優しく笑う。
その笑顔が、
寝起きのぼんやりした頭に
じんわり染み込んでくる。
「入っていい?」
その一言が、
妙に胸に響いた。
「どうぞ。」
靴を脱いで入ってきた彼は、
すぐに袋をテーブルに置いた。
「とりあえずご飯買ってきたから食べよう。
まだでしょ?」
「あ、どうも。」
慌ててテーブルの上の紙やペンを端に寄せ、
座布団を置く。
「これ、前食べた時美味しかったから。」
「えー!ありがとう!!」
袋から出てきたのはロコモコ弁当。
五穀米に蓮根、ハマス、彩り野菜。
身体に良さそうなものばかりで、見た瞬間テンションが上がる。
思わず、スッと写真を一枚撮る。
「いただきます。」
「いただきます。あ、お茶も買ってきた。」
「わ、ありがとう。何から何まで。」
「いいよ。昨日の分の補給しないと。」
さらっと言うその声が、
なんだか胸にじんわり染みる。
ロコモコの温かさと、
柊くんの気遣いの温度が混ざって、
身体の奥までほぐれていく感じ。
彼は特別扱いしてるつもりなんてないのかもしれない。
誰にでも優しい人なんだろう。
……でも、
こうして目の前で自分のために動いてくれる姿を見ると、
どうしても胸がふわっとなる。

