彼は魅惑のバレリーノ


——ピンポーン。

「はっ…何か頼んだっけ? あれ、今何時?」

カーテンの隙間からは陽の光がみえる。
慌てて携帯を見る。

昼!?

「うそ…寝過ぎた…!」

そして画面にはメッセージ。

『昼頃いく。』

……今じゃん!!

待って、そういえば昨日——
“明日も来ていい?”って言ってたような。

このピンポーンって、まさか。

バタバタしながらインターホンを覗く。

「い、いる。」

画面の向こうで、柊くんが心配そうに立っていた。

「は、はい。」

「大丈夫?」

「おはよう…あの。ちょっと五分待ってて。」

「うん、わかった。」

その声を聞いた瞬間、
もうダッシュで洗面所へ。

顔を洗って、タオルで雑に拭いて、
クローゼットを漁って服を着替え、
髪を櫛でとかして、
眉毛と下地ファンデだけ塗る。

心臓がバクバクしてる。

寝起きの顔を見られるなんて無理。
部屋もまだ散らかってるし、
昨日の恥ずかしさも残ってるし。

でも——来てくれた。

それが、なんだか嬉しくて、
余計に焦る。