彼は魅惑のバレリーノ


洗面所から出てきて、ソファに座る。
ふわっと優しい匂いが漂っていた。

「雑炊作ったから食べて。
勝手に材料使っちゃったけど。」

「ううん、ありがとう。
いただきます。」

「どうぞ。」

私がスプーンを口に運ぶのを確認してから、
柊くんはキッチンに戻って片付けを始めた。

「お、美味しい…
身体にしみる。」

「それは良かった。」

ふっと、安心したように笑う横顔。
その笑顔だけで、また胸が温かくなる。

「ご馳走様でした。」

お皿を持って立ち上がると——

「置いといて、洗うよ。」

「え、いいよ。」

「大丈夫。ゆっくりしてて。」

その言い方があまりにも自然で、優しすぎて
思わず胸がきゅっとなる。

「あ…ありがとう。」

ソファに腰を下ろすと、
身体に雑炊の温かさがじんわり広がって、
全身がふわっと軽くなる。

キッチンから聞こえる食器の音。
それを片付けているのが、
自分の部屋にいる柊くんだなんて——
なんだか夢みたい。