「さあ!お昼休憩よ!
いくわよ!」
亜季に腕をぐっと引っ張られ、半ば強制的に休憩室へ連行される。
私はコンビニのサンドイッチとカフェラテを取り出し、席についた瞬間——
「それで!?」
目がキラッキラしている。
完全に“聞く気満々”の顔だ。
私はモデルの経緯と、出かけたことを簡単に話した。
「なにそれ!少女漫画じゃん!!
ドラマか!」
亜季がテーブルをバンッと叩く。
サンドイッチの袋がびくっと揺れた。
「いやいや、ただの気まぐれでしょ。
とりあえず作品仕上がるまではどうにかモデル頼みたくて。」
「へぇー。いいわね。恋が始まりそう。」
「いやいや。あんな綺麗な人に恋したら自滅の未来しか見えない。」
自分で言いながら、胸の奥がちょっとだけ痛む。
“自滅”って言葉でごまかしてるけど、本当は——
期待しちゃいけないって、わかってるから。
「もしかしたら、恋人とかになる可能性もあるんじゃない?」
「ないない。」
昔みたいに、白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるなんて思えるほど子供じゃない。
夢を見ていられる年でもない。
…そう言い聞かせてるだけなのに。
「まあ、逐一報告してよ。」
「…気が向いたら。」
口ではそっけなく返したけど、
胸の奥では、昨日の彼の笑顔がまたふわっと浮かんでしまう。
気が向いたら、なんて言ったけど——
本当は、誰かに話したくなるくらい、心がざわついてる。

