彼は魅惑のバレリーノ


翌日、仕事にて。

「おはよう!如月。」

爽やかに笑う深山が、いつもよりちょっとテンション高めに近づいてくる。

「おはよう。」

「昨日の戸神さんってさ、すごい人だったんだな!
名前聞いたことあるなって思って、俺、調べちゃったよ。」

「そうなんだよね。
まさかモデルしてくれるとは思わなかったけど。」

「如月はさ…」

「ん?」

「その人と付き合ってたりする?」

探るような視線。
冗談っぽく言ってるのに、目だけは真剣で、少しだけ意地悪。

「まさか。あんなすごい人が私に興味ないよ。」

言いながら、自分でちょっと胸がチクッとする。
顔も良い、身体も良い、声も良い。
優しいし、非の打ち所がない。
…そんな人が、自分を選ぶなんて、考えたこともない。

「んー、そうでもないと思うけど。」

深山がぽつりと呟く。

その言い方が妙に引っかかる。
軽い調子なのに、どこか含みがあって。


胸の奥が、ふっと熱くなる。
昨日の彼の笑顔が、また浮かんでしまう。