「じゃあこれ買おうかな。」
そう言って、柊くんはユキヒョウの水筒をそっと握りしめた。
「一華さんは…これに似てる。」
促されて視線を向けると、
リスがベレー帽をかぶってどんぐりの絵を描いているスノードーム。
小さな花がふわりと舞い、リスの周りに光が落ちる。
「可愛いね、これ。」
「ね。」
「でもこのリス、どんぐり描きながらどんぐり口に咥えてない?」
「そうだね。
ご飯食べてる時そんな感じだったよ、一華さん。」
くすっと笑う声が、耳の奥に甘く残る。
からかわれてるのに、胸の奥がふわっと浮くように温かい。
「それバカにしてるやつじゃん。」
むっとしたふりをしてみても、
口元が勝手に緩んでしまうのは止められない。
「違うよ。可愛いって思ってる。」
その言葉は飾り気がなくて、まっすぐで。
軽く言ったみたいなのに、心の奥にそっと沈んで、じんわり広がっていく。
恥ずかしさを誤魔化すように、私は口を尖らせた。
「それ、誰にでも言うんでしょ。
これだから……ほんと、イケメンは。」
「そんなことないよ。
俺は、お世辞は言わないタイプ。」
そう言って笑った彼は、
視線をそらしたくなるほど優しくて、
でもそらしたくないほど嬉しかった。
胸の奥が、ゆっくり甘く満たされていく。

