「ここは。」
「雑貨屋だよ。珍しいデザインのものがいろいろあるよ。」
二人で並んでガラス扉を押すと、カラン、と小さな鈴の音が店内に広がった。
ふわりと木の香りが漂い、柔らかい照明が棚の小物たちを優しく照らしている。
思わず足を止めてしまうほど、可愛らしくて落ち着いた空間だ。
見たことのないデザインの小物が、まるで宝石みたいに並んでいる。
どれも誰かの「好き」が詰まっているようで、眺めているだけで胸が弾む。
「オシャレだね。」
「でしょ?
こういうお気に入りのものが近くにあると、なんか気分上がるから。」
柊くんが嬉しそうに笑う。その横顔が、この店の雰囲気よりずっと柔らかい。
棚の端に置かれた猫のモチーフのコップをみる。
深い青色の猫が描かれていて、どこかマリアさんを思い出させた。
「わかる。
素敵なものってさ、気分を明るくしてくれるよね。」
言葉を返しながら、店内の光が彼の髪に反射して揺れるのを眺める。
その瞬間、この小さな雑貨屋が、二人だけの秘密の場所みたいに感じられた。

