彼は魅惑のバレリーノ

「ふふっ、なんだそれ。」

口元に手を添えて、彼がくすっと笑う。
陽の光が横から差し込んで、彼の横顔のラインがやけに綺麗に見える。

「いや、笑わないでよ。真剣なのよ。」

「ごめん…
じゃあさ。久々のデート——俺と、楽しんでくれる?」

小首をかしげて見上げてくる。
その仕草が自然すぎて、胸の奥が一瞬きゅっとなる。

ず、ずるい。
何この破壊力。
顔がいい。声もいい。全部いい。

「…ずるい。」

「何が。」

「全部。」

「ふーん、そんなドキッとした?」

「するよ!!そんな国宝級みたいに整った顔でそんなこと言うなんて、私のことを痛ぶって楽しい!?」

「うん、ちょっと楽しい。」

「性格悪いな。」

「それはどうも。」

彼が軽く肩をすくめる。その動きに合わせて、ふわっと彼の香りが流れてくる。
近い。さっきより確実に近い。

「…とりあえず行こうか。」

「うん、そうだね。」

歩き出すと、彼がさりげなく歩幅を合わせてくれる。
その小さな気遣いに、また心臓が跳ねた。