彼は魅惑のバレリーノ

こちらに気づいたようで、
「おはよう!」と声をかける。

柊くんは車から降りて、助手席の扉を開けてくれた。

「おはよう。どうぞ。」

し、紳士…!
胸が一瞬で熱くなりながら、車に乗り込む。

「ス、スマートすぎない!?」

思わず本音がこぼれる。

「え?そう?
海外だと普通だからな。」

そっか。普段は海外での生活の方が長いのか。

「あ、良かったらこれ。どれがいい?」

袋の中の飲み物を見せる。

「多くない?」

コーヒー、カフェオレ、麦茶、緑茶。
わからなすぎて、気づけば種類が増えていた。

「いや、何飲むかわからなくて。
カフェイン気にしてるのかなとか、カロリーとか…考えてたら訳わからなくなっちゃって。」

そう言うと、柊くんが目を丸くする。

「何か気を遣わせちゃったね。
じゃあ、コーヒーもらい。」

「どうぞ。」

「ありがとう。
じゃあ出発するので、シートベルトして。」

「はい!お願いします。」

エンジンの音が静かに響いて、
いよいよ二人の時間が動き出す。