彼は魅惑のバレリーノ

「いいよ、二つ食べなよ!」

「なんで?」

「いや、夕飯ご馳走になっちゃったし。」

「美味しいものはさ、二人で食べた方がいいでしょ?」

「それは言えてる。」

柊くんは淡々としながらも、
どこか柔らかい声でそう言った。

「具材いろいろ入ってるね。」

「そう!話題のやつ。」

キラキラと光るオレンジ、白桃、マスカットが
透明なゼリーの中で宝石みたいに揺れている。

もう一つは、紅茶ゼリーにグレープフルーツが沈んでいて、
光に透けて琥珀色がきれい。

思わず二つ並べて写真を撮る。

「どっちがいい?」

そう聞くと、

「じゃあ、こっち。」

「どうぞ!」

「いただきます。」

柊くんがフタをあけ、スプーンでゼリーをすくい、
口に運ぶ。
その喉が静かに動くのを、つい目で追ってしまう。

「ん、おいしい。」

「だね!」

私も口に含む。
ひんやりして、果物の甘さがふわっと広がる。