彼は魅惑のバレリーノ

「これは当分彼氏できないわね。」

「いいよー別に。」

そう言って頬をぷくっと膨らませると、
亜季は「はいはい」と笑ってパソコンに向き直った。

その後は淡々と仕事をこなし、
気づけば——待ちに待った金曜日。

カレンダーを見ただけで胸が少し跳ねる。

そういえば、夕飯どうしよう。
軽く何か食べてから行くか、
それとも……聞いてみる?

スマホを取り出し、指が勝手に動いた。

『これから行くよ!
何か食べたいものありますか?』

送信。
数秒後、すぐに返信が来た。

『いらない。
そのままきていい。』

淡白。
らしいといえば、らしい。

でも、さらにメッセージが続いた。

『夕飯あるから。一緒にどうぞ。』

……や、優しい。

胸の奥がじんわり熱くなる。
淡々としてるのに、こういうところで不意に優しい。

スマホを握ったまま、
思わず小さく息を吐いた。

「……よし!行くぞ。」

自然と頬がゆるみ、急ぎ足で歩き出した。